ある日仕事で付き合いのある知人から「Windowsのノートパソコンが欲しいんですが中古とかどうですか?」って相談を受けました。
そのときにアドバイスをした内容を軽くまとめて、中古パソコンを買う時の注意点や選び方を記事にしておきます。
なお今回の記事はWindowsのノートパソコンをターゲットにしていますが、中古パソコン全般に当てはまる内容です。
もくじ
中古パソコンの唯一にして最大の魅力は安さ
当たり前ですがやっぱり安さが最大の魅力ですね。
数年前に新品で何十万円もしたものが、2、3年もすれば半額以下になっていたりすることも珍しくない。車やバイクではあり得ない値下げっぷりです。
例えばこちら。
4年ほど古いノートPCとは言え当時20万円くらいだったレッツノートのフラッグシップモデルが2万円ちょっとで買えてしまう。なんと10分の1。
ちなみにこの価格は
中古パソコンショップ Be-Stock
ここで売ってたやつです。
amazonの中古だと
3万5千円くらい。上記専門店に比べ1万円以上高い。
amazonの中古はマーケットプレイス出店している無名のショップのことが多く、やたら高い価格設定のショップが多いのでおすすめしません。
有名なソフマップだと
ううーん、高すぎ。
大手は高いですね。
中古パソコンは安く買えることが唯一のメリットなので、できるだけ安い店で買ったほうがいいです。もちろん、ちゃんと保証のある店で。
Be-Stock は中古パソコンの保証が1年もあるぶっ飛んだショップ。じゃんぱらやソフマップは1カ月と、中古パソコンショップはだいたい1カ月程度の保証期間なので、1年という保証期間がいかにとんでもないことかがわかる。
中古パソコンは危ない?主なデメリット
バッテリーの損耗
ノートパソコンにはバッテリーが入っていますが、これはスマホのバッテリーなどと同じで経年劣化で性能がどんどん落ちていきます。大雑把ですが、5年も経つと新品時の半分の性能さえ発揮できなくなります。スマホと違ってそもそもの容量が大きいので5年経過しても起動さえしなくなるほど弱ることは稀ですが、それでもかなり性能は落ちます。
中古ショップでバッテリーの保証をする店を見たことがありません。バッテリーは消耗品と考えておいたほうがいいですね。
5年前までのモデルならギリギリ交換バッテリーが入手できることもあります。交換バッテリーは機種によりますが1~2万円と高価なので、外出して使うことがある場合はこの点も考慮しておこう。ただ、最近はスタバやマックなどたいていどこでも電源コンセントが利用できますね。
スマホにも使えるし別のノートパソコンに買い替えたとしてもこれなら使いまわせます。ACコンセントが付いているので家庭用電気製品も利用できます。
液晶モニタの劣化
これも経年劣化を避けられない部品。
5年くらい使うと液晶モニターの明るさが暗くなり、色も黄ばんだり赤っぽくなったりします。
暗くなってしまうのは内部のバックライトが劣化するため。古いノートパソコンのバックライトは冷陰極管という蛍光灯みたいな部品で光っているわけですが、蛍光灯と同じで徐々に暗くなって最後には光らなくなります。こうなると画面が真っ暗で何も見えなくなってしまい、ノートパソコンとしての寿命を迎えます。これを修理するには分解して管を交換することになりますが、それなりに器用さを要求されるのでおすすめしません。僕も何度かやったことがありますができればやりたくないくらいの作業です。
最近のモデルはバックライトにLEDを採用しているので寿命が飛躍的に向上しました。
黄ばんだり赤くなったりするのは液晶そのものの劣化。これも液晶パネルを交換しないと直らないので大変な作業になります。
新しいOSに対応できない
古いノートパソコンにありがちなのが、最新のOSを入れたら一部の機能が動かなくなったというもの。
5年古い程度ならほとんどトラブルはありませんが、それ以上になるとOS内蔵のドライバが対応していなくて、webカメラやオーディオ、無線LANにタッチパッドなどが使えなくなるという致命的なトラブルも。
あらかじめ、購入前にその中古ノートパソコンの製品名と「Windows10 インストール」などというキーワードを組み合わせてググって調べておこう。
誰かがチャレンジした記事がたいてい見つかります。
本体に傷あり
5年前のノートパソコンで傷なしなんてことはまずありません。
天板や底面には擦り傷があるし、ひどいときはサイドフレームにヒビがあったりヒンジ部が割れていたりすることも。こういう大きな損傷は落としてしまっている可能性が高いので避けたほうが無難です。たとえいまは動作していても、内部で基盤を固定するフレームが割れていたり、ヒンジのヒビは液晶のフラットケーブルが断線する原因にもなります。
天板の傷なんかはホームセンターで売っている糊のついたシートなどを貼って隠すこともできます。僕の友人はステッカーを貼りまくっていました。アニメの。
バイクや車のメーカーのステッカーを貼ったりするとかっこいいかも。
キーボードにテカリがあるのもよくあることで、文字消えがなければさほど気にしなくてもいいです。このへんは人によりますが。
メーカーサポートなど保証
国内メーカーは古いノートパソコンでも電話したりメールで聞くと教えてくれたりしますが、海外のメーカーなどでユーザー登録していないと門前払いされたり、マイナーなメーカーだとすでにパソコンから撤退しているということも。
壊れてしまったときも保証期間は当然終了しているし、修理しようにも部品がもう無かったりします。
中古ショップの初期不良保証のみが頼りになるので、ある程度割り切りが必要になります。
オークションなど個人売買は絶対にNO!
トラブルがあっても自分でなんとかできるくらいの知識と技術があるならまだしも、保証のないノークレームノーリターンでパソコンを買うのは危険すぎます。
たとえ業者が出品しているものでも「店で売れなかったから」と安くてもいいから処分したいという思惑が垣間見える商品が多々あります。
特にOSのライセンス。
これすごく重要。
オークションに出品している業者に多いんですが、「動作確認用にWindows10インストール済み」と書いてあって、実際に買ってみたら認証されてないWindows10がインストールされていて、1か月もしないうちにロックがかかってしまって何もできなくなることも。
出品者に問い合わせても「動作確認用なので」とあしらわれノークレームノーリターンで泣き寝入りになります。
中古パソコンショップの商品は多くがリース落ちの商品です。
僕はかつて中古パソコンショップでバイトしたことがありますが、オリック〇レンテックなどの大手リース会社がリース落ちの商品を業者向けクローズドオークションで販売しており、中古ショップはこのオークションに参加して同じPCを何十台も大量に買い付けます。これらはリース会社と中古ショップで二重にチェックされているので、不良品を掴まされることはほとんどありません。
このチェックを通らなかったものが、ジャンクとして店頭で雑多に積まれたりオークションに流れたりします。このとき個人情報保護の関係でHDDは抜き取って処分します。
店頭ジャンクやオークションでHDDが抜かれているものは何か問題があった可能性が高く、よほどスキルがない限り手を出さないほうが無難です。
中古パソコンを選ぶときのポイント
5年も古い場合は現物をチェック
あまりに古くなるといろいろと不具合を抱えていることがあります。
特に液晶の明るさやキーボードのキータッチ具合など、説明文ではなかなか判別できない消耗は実際に商品を見てチェックしたほうがいいですね。
2~3年程度ならそんなにひどく損耗することはめったにないので、通販で購入してもだいたい大丈夫だと思います。この程度ならバッテリーもたいてい生きていて、新品時の80%くらいの性能が残っていることもあります。
スペックをチェック
選ぶ際の重要な順番で書いています。
画面解像度
できればFullHDを推奨。
画面そのものの大きさは「15インチ」などのインチで表記しますが、画面にどれだけの情報量を表示できるのかというのは解像度という言葉で表します。
ここでおすすめなのがFullHDと呼ばれる1920x1080の解像度。
画面が狭いと何をするにも窮屈に感じてストレスになります。
僕も以前、1366x768のいわゆるWXGAという解像度のノートパソコンを購入したことがありますが、せいぜいメールチェックとネットを見る程度で、とてもじゃないけどこれで文章書いたり画像編集したりなんてやる気になれません。買って失敗したと後悔しました。
最低でもWXGA++ (1600×900)以上はほしいですね。
ストレージ
絶対にSSDです。これは譲れません。
僕は何台かパソコンを使用していますが、すべてSSDにしてあります。
SSDとはHDDに比べて何倍も速い記憶媒体で、HDDだと開くのに何十秒もかかるフォトショップのファイルがSSDだと数秒で開きます。そもそもフォトショップの起動自体、数秒です。
2コアのCPUと8コアのCPUはベンチで測ると10倍の差が出たりしますが、実際に実用のレベルで比較する限りではとんでもない差が出ることはまずありません。メモリの容量が2GBと8GBで比較しても、HDDだとメモリの容量差は体感できるほどに影響が出ますが、SSDで比較するとメモリの容量が何倍も違っていてもほとんど気にならないほどに、SSDというものの恩恵が大きいです。
もう一度言います。絶対にSSDを搭載したノートパソコンをおすすめします。
僕はもう二度とシステムドライブがHDDのパソコンを使いたくありません。
このSSDはHDDに比べて高価で容量も少ないですが、128GB以上あればとりあえずはOKです。
初期状態のOS(Windwos10)が15GBくらい使用しますが、度重なる大型アップデートに伴い容量を消費し最近では30GB以上をOSで使用しています。
SSDが64GB程度と小さいノートパソコンや、中には32GBというものもあります。これらはアップデートすらできないほどに容量が小さいのでおすすめしません。
128GBだとOSがアップデートで肥大化した現在でもまだ90GBほど利用でき、メーラーやブラウザ、オフィス系のアプリ程度であれば十分インストールできます。
データは外付けのHDDに保存しよう。
HDDからSSDへ換装したりOSを再セットアップできる程度のスキルがあるなら、安いHDDモデルを買ってSSDに交換するのもありです。
ただし、本体+SSDの価格+手間 がかかるので、その点を考慮すべし。
メモリ容量
できれば4GB以上。
ただ、SSDを搭載していれば2GBでも4GBでも明確に体感できるほどの差は出ません。
HDDだとメモリ2GBでは使い物にならないほど遅く、8GBあってようやく実用域に達するかどうかというほどです。
OS
Windows7以降必須。
おすすめはWindows10です。
中古市場で一番多いのはWindows7ですね。
Windows7は以前にWindows10への無償アップグレードがあったんですが、今は終了しています。
が、
まだできます。
やり方は今度記事にしようと思いますが、表向きは終了したことになっている無償アップグレードが実はまだできてしまいます。いつまでできるかはわかりませんが、Windows7のパソコンを手に入れた場合は早めにWindows10にアップグレードしておこう。
Windows8/8.1はあまり中古市場に数がないものの、こちらはWindows7に比べても不安定要素があるので、さっさとWindows10にしてしまおう。Win8も終了したはずの無償アップグレードがまだできるようです。
また、OSには32bit版、64bit版とありますが、64bit版を選ぼう。
32bit版のOSはメモリを3GBまでしか利用できません。
2GBのメモリで使うからいい、というわけにもいきません。
最近は64bitのアプリが増えてきたので、32bitだと利用できないアプリも多くなってきました。これから先32bit版のアプリは減少していくので、わざわざ32bit版OSを選ぶこともないですね。
OSのアップグレードなど手間がかかることはやりたくない、という人は最初からWindows10搭載のモデルを選ぼう。
CPU
CPUは種類が非常に多く、同じシリーズネームのCPUでも世代によって大きく性能が変わります。
intelのCPUには
Coreiシリーズ(i9、i7、i5、i3)、Pentium、Celeron、Atom
などのラインナップがあり、i9がいちばん速いCPUで、右へ行くほど遅いCPUです。
ただし、PentiumやCeleron、Atomは世代やモデルによって速さがかなり違ってきます。
一昔前のハイエンドノートパソコンでよく採用されているのが
i5-4300U
などのi5シリーズHaswell 世代と呼ばれる第4世代のラインナップ。
このモデルナンバーの読み方ですが、先頭の「i5」がシリーズネーム。
次の4桁の数字が世代とモデルナンバーを示し、末尾の英字はCPUの機能的な位置づけを表す。ちなみにUやY、Mはモバイル向けの低消費電力という意味。
例)
i5- 450M
第一世代のi5シリーズ。モデルナンバーは3桁。2010年の発売。
i5-2410M
有名なコードネームSandy Bridgeの第二世代。モデルナンバーが4桁になり1文字目が世代を表す数字に。2011年発売。
i5-3210M
こちらも有名なIvy Bridgeという第三世代。2012年発売。
i5-4200M
Haswellという第四世代。2013年発売。
どのCPUを狙えばいいのか?
iシリーズはネットを見たりメールを書いたりするには申し分ない性能を持っています。
注意したいのはAtomやCeleron。これらの初期モデルは使い物にならないほど低速です。
例えばAtomの第二世代にあたるAtom N2800。2011年~2012年のネットブックやモバイルノートという小型軽量ノートで大量に採用されていましたが、このCPUは2006年発売のCore2Duoの半分ほどの性能しかありません。
マルチコア性能でなんとかCore2Duoに追いついてはいますがシングルコア性能は惨敗。アプリ側のマルチコア最適化がまだまだ進んでいなかった当時は、「Core2Duoのほうがマシ」と遅いCPUの代名詞のように言われたことも。
CeleronのN2xxxなどのシリーズも中身はAtomと同じで動作クロックを上げた程度のモデル。相変わらずCore2Duoにさえ及びませんでした。
これらは2014年以降になってようやくCore2Duoを上回るようになったので、中古市場で狙う時は2014年以降でチョイスするとまず大丈夫。ただし、それでも2006年発売のCore2Duoをようやく超えたという程度のパフォーマンスだということを忘れずに。
ただ、Core2Duo当時のパソコンはグラフィックがDirectX9までしか対応していないなどCPU以外にも足かせとなる部分が多く、2014年あたりのAtomXシリーズは動画再生支援機能などの恩恵があるためYouTubeを見たりする程度ならAtomのほうが快適に動作します。
とはいえCorei5搭載の中古ノートパソコンがお手頃価格で豊富にあるので、i5搭載のパソコンをおすすめします。
付属品のチェック
中古パソコンは箱や説明書が欠品している場合が多いですが、他にも欠品がないか十分にチェックしよう。
特にACアダプタ、リカバリディスクなどが揃っているか要チェック。
最初からリカバリディスクが付属していないパソコンも多くあり、その場合は内蔵ストレージのリカバリ領域(DtoD領域)から復活できることもあります。
リカバリ領域が残っているかどうかも要チェック。
HDDの交換やOSのクリーンインストールでリカバリ領域が消失していることもよくあります。
保証をチェック
保証内容と保証期間のチェックですね。
中古ショップによっては初期不良保証が1週間と極短のところもあります。
おすすめ中古パソコンのまとめ
スペック
解像度:FullHD(1920x1080)以上
CPU:i7~3の第二世代以降
メモリ:4GB以上。ただし、メモリの増設や交換は容易なので後から買い足してもいい。その場合は空きスロットの有無をチェックしておくこと。
HDD:SSDで128GB以上。自力で換装できる場合はHDDでも。
OS:Windows10以降。自力でアップグレードできる人は7でも。ちなみに32bitの7を無料アップデートで64bit版のWindows10にすることができました(2018年5月に試したときはまだ可能)。
状態
発売からせいぜい3~4年以内。
これより古くなると液晶画面の輝度が低下していたり変色が見られ、外装の痛みやキーボードのテカリも気になるレベルになります。
またバッテリーもかなり劣化しています。
とりあえず価格を調べてみたいときは前述の
Be-Stock
このサイトで「状態」の欄に「ssd,full」と入れて検索してみるといいですね。
これでSSD搭載したFullHD液晶のノートパソコンがヒットします。