ここでは、Windows10(またはWindows7、8)がインストールされたシステムドライブのHDD(またはSSD)を、EaseUS Todo BackupというフリーのHDDクローンツールを使って丸ごと新しいSSDに引っ越しする手順を紹介します。
もくじ
いまSSDがとてつもなく安い!
韓国の輸出制限という政治的理由で韓国半導体企業が減産し始めているようです。
サムソンとSKハイニクスが世界の半導体市場のシェア6割くらいという話なので、これは世界的SSDの供給不足に陥りかねませんね。
安い今のうちに買っておかないと後悔することになりそうな予感!
ということで、ちょうどWindows10のシステムドライブとして使用していたCドライブの残り容量が
ご覧のように割とエグイことになっていたことだし、大きな容量のSSDに換装、交換することにしました。
SSDは残り容量が少なくなると同じセクタに何度も書き込むことになってしまい、書き換え上限回数(寿命)が決まっているメディアなので不良セクタを発生させる原因になりかねません。
おおまかな手順としては以下の通りになります。
・新しく購入したSSDの接続、および領域確保
・EaseUS Todo Backup Freeを使ってOSの入ったシステムドライブのクローン(丸ごとコピー)
・コピー元ドライブとコピー先ドライブの入れ替え
ではやっていきましょう。
買ったのは
安心と信頼のCrucial製480GBのSSDです。6千円台でした。安っすいなー。 実はBX500シリーズよりこちらのほうがオススメ。BXシリーズはキャッシュ制御にクセがあるのか、1ファイルで何十GBもあるファイルを書き込むと速度がかなり低下するみたい。じゃあなぜBX500シリーズを買ったのかというと、そんな大きなファイル書き込むことないし、あとたまたまほしいと思ったときにCT500の在庫が無かったので。ちなみにいまHDDを使っていて、小さい容量でもいいからSSDに乗り換えたいという人は
このへんとかおすすめ。
下準備:Windows10のインストールUSBを作成
Windows10のインストールUSBをあらかじめ作っておきます。
これがあれば、スタートアップ修復や回復ポイントへの復旧などいろいろ救済処置が可能になります。PCが1台しかない場合に、その1台がトラブってしまうとどうしようもなくなってしまうので、PCが正常に動作している今のうちに、いつか起こるかもしれないトラブルに備えて作っておいたほうが絶対に良いです。僕も何度か使う羽目になったことがあります。
必要なもの:USBメモリ
8GB以上あればOK。おすすめはサンディスクか東芝。USBメモリってよく破損しませんか?
インストールUSBはハードな読み書きが発生するためか、普通に使うなら問題のないUSBメモリなのに、インストールUSBにしようとすると書き込みエラーの発生するものが多々ありました。具体的にはシリコンパワーとエレコムとメーカー不明がウチの環境ではエラー出ます。
サンディスクと東芝はいまのところエラーは出ていません。
https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10
Windows10のダウンロードページにアクセス、「ツールを今すぐダウンロード」をクリックしてインストールディスク作成ツールをダウンロードします。
次にUSBメディアをパソコンに挿します。
フロントパネルのUSBは埃やサビが浮いていてシビアな読み書き時にエラーが出ている場合もあるので、書き込みエラーが出るようならバックパネルのマザーボード直結にUSBポートに挿してみてください。
なお、USBメディアじゃなくDVDドライブも利用可能です。
メーカーPCなどでUSBメディアからブートできないパソコンもあるので、その場合はDVDメディアを利用しよう。
ダウンロードしたツールを開くと、アップグレードするかメディアを作成するか尋ねられるので、「別のPCのインストールメディアを作成する」を選びます。
しばらくするとインストールメディアが作成完了します。
下準備:システムドライブのバックアップ
念のため、やっておいたほうが精神安定上よろしいかと。
マイドキュメントやメールクライアントのエクスポートなど、Cドライブの個人データを外付けHDDやUSBメディアなどにバックアップしておきます。
EaseUS Todo Backup Freeのダウンロードとインストール
Windowsのシステムが入ったHDDのクローン、要するに丸ごとコピーができる無料のツールはいろいろありますが、EaseUS Todo Backup Freeが一番信頼性が高くユーザーが多いと思います。
EaseUSのツールにはほかに有名なものでEaseUS Partition Master Freeがあります。こちらはパーティション操作を行うツールです。
まずは公式サイトへアクセス。
https://jp.easeus.com/backup-software/free.html
ダウンロードしたらファイルを開いてインストール。
なお、EaseUS Partition Master FreeをインストールするとEaseUS Todo Backup Freeも一緒にインストールされます。
EaseUS Partition Master Freeは引っ越し後のドライブのパーティションを自由に変更したりと便利なので、一緒にインストールしておいて損はないと思います。
新しいSSDをPCに接続して領域確保
※ここから先の換装例では、500GBのHDDから120GBのSSDへ換装するというシチュエーションでテストしています。
買ったばかりの新しいSSDをパソコンに接続します。
繋ぎ方はUSBでもSATAでもどちらでも。
ただし、USBで接続するには変換インターフェースケーブルが必要になります。
僕はノーブランドのうさん臭い1000円くらいの変換ケーブルを使ったら書き込みエラーで失敗しました。この作業ではシビアな読み書きを求められるせいか、メーカー不明のケーブルを使うのはやめておいたほうがいいと思います。
結局、PCを開けてSATAで接続しました。
SSDを接続して電源を入れ、スタートボタンを右クリックでメニューを展開、「ディスクの管理」をクリック。
なお、初回の接続起動時は電源を入れるだけでディスク管理を開くかどうか尋ねられる場合があります。
ディスクの初期化を行う際、MBR形式かGPT形式かを問われます。
このとき、クローン元のHDD(SSD)と同じ形式を選択するとクローンの失敗が少なくなります。環境次第ですが、元と異なる形式を選択すると失敗することがあるようです。
ちょいネタ:MBRとGPTって?
HDDを使用するにはフォーマットする必要があります。FAT32であったりNTFSであったり。で、その前にHDDの領域そのものを制御するパーティション設定が必要で、その形式には古くからあるMBRと比較的新しいGPTという形式があります。
今の形式がどちらなのかはディスクの管理でドライブを右クリックしてプロパティでチェックできる。(プロパティ開かなくてもMBRなら「GPTディスクに変換」とメニューが出ていますが)
MBR:1ドライブ最大2TBまで、パーティションは4つまで。
GPT:1ドライブ最大8Z(ゼタバイト、約86億テラバイト)、パーティションは128まで。
GPTは他にもセキュリティが向上していたり、UEFIブートに対応していたりします。
Windows10をクリーンインストールするとGPTで領域が作成されます。
UEFIブートは64bitOSが必須となりBIOSが対応している必要がありますが、今どきのマザボはすべて対応しているはずです。
BIOSは標準だと従来のAHCIモードになっているのでUEFIブートを利用していない人がかなりいると思います(実際僕も従来モードで使用している環境があります)が、Windows起動時に窓マークが出るまでがやたら遅い場合などは、UEFIブートにすると高速化する可能性があります。GPTになっていないドライブでUEFIブートに変更すると起動しなくてめっちゃ焦ったりします。
また、今まで使っていたHDDが古いWindowsからのアップグレードしたものだったりするとMBRになっていたりします。普通に使用するにはMBRでも問題ありませんが、大きなパーティションにしたいときなどはGPTに変換する必要があります。
なお、MBRで使用しているドライブをGPTに変換するにはディスクの管理でドライブを右クリックして変換できますが、データがすべて初期化されるので要注意。
データが入ったドライブをGPTに変換するにはEaseUS Partition Master Freeなどのツールを使用する必要があります。
EaseUS Todo Backup FreeでHDDのクローン
下準備が整ったのでいよいよEaseUS Todo Backup FreeでHDDのクローン、引っ越し作業に入ります。
今回は、Windows10が入った500GBのHDDから、それよりも容量の少ない128GBのSSDにOSを丸ごとコピーします。
このシチュエーションが一番多そうなので。
容量の大きいHDDから、それよりも容量の少ないSSDへの引っ越しは可能です。
ただし、容量の大きいHDDで使用している容量が、少ないSSDの容量よりも小さい必要があります。
上図の例ではHDDは500GBですが、実際に使用しているのは30GB未満なので、128GBのSSDでも問題なくクローンして換装が可能です。
起動するとライセンスがどうのこうの言われますが、無料で使用するので「後で」をクリック。
以前のバージョンに比べてかなりすっきりした画面になりました。
クローンを行うには左のメニューアイコンの下から3番めのクローンをクリック。
この時、ハードディスクを丸ごとチェックしてください。
上図ではハードディスク0にCドライブとは別に「システムで予約済み」と書かれたパーティションが存在しています。これは普段のWindows上では表示されない隠しドライブみたいなものですが、どのドライブから起動するかなどの重要な情報が入っています。
そのため、これを省いてCドライブだけクローンすると失敗します。
いっぱいパーティションが入っていると消してきれいにしたくなりますが、ディスク丸ごとコピーしましょう。
上図では、「回復」と書かれたパーティションが存在しています。
メーカー製PCなどだとこれが数GBもあったりしてもったいないと思いがちですが、再セットアップのためのリカバリー領域として存在しているので消さないようにしよう。
またWindows10は大型アップデートがあった場合、勝手に回復領域が作られることもあります。
このとき、コピー先がSSDなら
「高度なオプション」の「SSDに最適化」を必ずチェックしよう。
これは何かというと、ディスクのアライメントを最適化するオプションです。
簡単に説明すると、従来はHDDの管理は512バイトセクタ管理だったのが、SSDは4Kバイトセクタ管理になっています。SSDが4Kバイトで動作していないと速度が著しく低下し、データの破損に繋がることもあるとかないとか。
ということでこのチェックを入れておきます。
ちなみに、チェックを入れてクローンしたのにアライメントがずれたというのも聞いたことがあります。
クローン後に念のためアライメントを確認したほうがいいです。
アライメントのチェックは、Windowsキー+Rキーで「ファイル名を指定して実行」のウインドウを開き
msinfo32
と入力して「OK」をクリック。
「記憶域」→「ディスク」をクリックし、「パーティション開始オフセット」の値をチェックしてみます。
この値を4096で割り切れたら4KセクタになっているということでOKです。
HDDからSSDへクローンする際に「SSDに最適化」をチェックしなかった場合こうなりました。
4096で割り切れませんね。これはアライメントが狂っている状態です。
アライメントはdiskpartコマンドで修正可能ですが、データが消えるのでおすすめしません。
EaseUS Partition Master Freeならデータが入ったドライブのアライメントも修正できるのでこちらが安全ですね。
ちなみにこの前の画面でクローン先のディスクを「編集」というのをクリックしてパーティションを修正できます。が、そんな大きなSSDを使うこともまだなさそうなのでわざわざパーティションを切る必要もないでしょう。
2TBのSSDが1万円くらいにならないと、パーティション編集はまず使いませんね。
クローン先のドライブがAドライブとBドライブになっていてなんだか気持ちが悪い感じですが、PCの電源を落としてドライブを繋ぎ変えて、必要ならBIOSのブートデバイスを設定して起動。無事windowsが立ち上がったら成功です。
余談ですがAとBドライブはかつてのDOS/V(もっと古い言い方だとAT互換機)だったころのフロッピーディスクドライブの名残り。AとBドライブは優先的にFDDにドライブレターがアサインされていた。
クローン元の古いドライブを取り外してクローン先のSSDと入れ替えて起動すると、先ほどの気持ち悪いドライブレターが見慣れたCドライブ1つになっています。
これでOSの入ったドライブをクローンして引っ越しが完了しました。
失敗して起動しないどころか元のSSDからも起動しなくなった
こんなの失敗するわけないじゃんとか鼻歌交じりで作業していたらエライめに遭いました。
クローン先のSSDが起動しないのはまぁ「失敗しちゃったテヘペロ」でやり直せばいいだけなんですが、なんと、元のSSDに戻しても起動しなくなりました。
これは完全に想定外です。
そもそもクローンの元となったSSDには何も手を加えておらず、ただ、一度接続を外して、再度もとに戻しただけなのに、起動しなくなりました。
起動すると黒バックに
Reboot and Select proper Boot device or Insert Boot Media in selected Boot device and press a key
というメッセージ。
昔から何度も見ているメッセージですが、何度見てもげんなりさせられます。
特に仕事で使用しているPCでこれが出た日にはほんと冷や汗もので、一日中復旧に時間を取られることもよくありました。
Windows10が起動しないときの復旧手順
先ほどの黒バック白文字メッセージが出ているときはブートできるOSが認識できていない場合です。
よくあるのはSATAケーブルがうまく刺さっていないトラブル。
グッと奥まで差し込み直します。
続いてBIOSのブートデバイスセレクトが間違っている場合。
新しく繋いだHDDやSSDは、BIOSでブートデバイスとして選択されていない場合があります。
あとはなんらかのツールによってアクティブなパーティションが変更された場合。
1つのドライブに複数のOSがインストールされている場合、いずれかのパーティションをアクティブにすることでブートデバイスを切り替えられます。メーカーPCなんかだと復旧用のDtoD領域にリナックスなどのOSが入っている場合がありますね。
今回、EaseUS Todo Backup Freeが新しいSSDをアクティブにするために古いほう(ソース)を非アクティブにしやがったのかとまっ先に疑いましたが、そんなことはなくてちゃんとアクティブになっていました。
ちなみにDiskpartというコマンドで修正可能です。説明書くとめっちゃ長くなるのでググってください。
そしてMBR(GPT)が破損している場合。めったにありませんが。
これはBIOSにHDDを認識させるために必要な部分で非常に重要な領域です。
MBRが破損するとBIOSで認識できなくなる場合もあります。また、PCを起動してもなんのメッセージも出ずに真っ暗な画面で文字カーソルが出ているだけになることが多いです。
bootrecコマンドで治ることがありますが、MBRが破損するのはウイルス以外だとHDDに物理的なトラブルが生じている可能性もあります。
あとはブートファイルが破損している場合。これが一番多い気がします。
今回の僕のトラブルも結論から言ってブートファイルの予期せぬ不具合でした。
原因はどうやらUEFIブートしていたドライブを取り外したためです。実はGPT形式でUEFIブートになっているドライブはセキュリティが強化されているため、たった一度取り外しただけでブート対象外にされてしまうようです。
BIOSでセキュアブートを無効にすれば起動するらしいですが、起動しませんでした。
焦りました。マジで。
そしてそもそもクローンに失敗した原因は、ドライブ丸ごとクローンせず、必要なパーティションのみ選択して回復パーティションを除外したら実はそれらも必要だった、というヒューマンミスです。
ということで、Windowsが起動しなくなった場合の修復手順です。
Windows10のインストールメディアで起動する
続行して再起動がかかる。しばらくこの画面なのでひたすら祈る。
祈り届かず。
ダメでした。
ちなみに、「修復できませんでした」と出ているのにUSBを抜いて再起動するとなぜか直っているときがあります。
スタートアップ修復は失敗しても懲りずに2、3回やり直すと成功するときがあります。なにこれ適当すぎない?
それでもダメだったらもう一度インストールメディアで起動します。
復元するOSを選択。
7からのアップグレードで旧領域を消していなかった場合、ここにWindows7も出てくることもあります。
復元ポイントを選択する画面になります。
上図の例では復元ポイントがありませんが、実際はEaseUS Todo Backupをインストールしたときに自動で復元ポイントが作成されていたため、そのポイントへ戻ることができました。
復元ポイントは何かアプリをインストールしたりWindows10のアップデートがあったりすると自動で作成されるので、普段から使用していたシステムなら復元ポイントが無いという事態に陥ることはまずないでしょう。
今回はこれによって復元し、元通り起動するようになりました。
ということで、不測の事態に備えて最低限、インストールメディアの作成とシステムドライブのバックアップはやっておきましょうねという教訓でした。
メインPCがトラブったとき、サブPCがないと調べ物も困りますよね。スマホだと情報を俯瞰して見ることが難しくて。
タブレットPCが活躍しました。
EaseUS Todo Backup FreeでHDDのクローンのまとめ
・Windows10のインストールメディアを前もって作成しておく
・クローン元とクロー先のドライブのパーティション形式(MBR/GPT)を揃えておく
・クローン時のオプションで「高度なオプション」の「SSDに最適化」を必ずチェック
・容量の大きなHDDから、それよりも容量の小さいSSDへのクローンは可能
・クローン時は未使用パーティションも含めてドライブ丸ごと選択すること
・GPTドライブをUEFIブートに設定しているときは、一度でもドライブを物理的に取り外すとブート対象外になるが、これはインストールUSBを使用して直せるので焦らない
以上です。
上記を守ってクローン作業をすればほぼミスすることはなく、10分~1時間程度で作業が終わると思います。