カメラの性能が高いと評判のp20 lite。
いま一番安く買う方法としてはOCNモバイルONEのSIM契約をすると8000円キャッシュバックされる買い方ですね。これは上記リンク先のamazonのみのキャンペーンです。実際、メーカーの公式サイトでもカメラ性能を前面に押したアピールっぷりで、ユーザーからの評価も上々です。
とは言え実売3万円以下のいわゆる格安スマホ。
そんな格安スマホに搭載されているカメラ機能なんてせいぜいメモ程度のオマケみたいなもんじゃないかと思われがちですね。
僕が今までに使ってきたスマホも、実売3万円以下で購入したものは本当にオマケレベルのカメラ性能で、安いコンデジにありがちな、ノイズ除去のためにディテールを塗り潰してしまった油絵のようなひどいものでした。
これは2016年発売のとある実売3万円のスマホの写真です。参考に載せてみました。
この日は晴天でしたが全体的に色味が薄く、山の露出に引っ張られて空が完全に白飛びしてしまっています。
等倍切り出しで見てみるとよく分かりますが、草木や山といったディテールは過度なノイズ除去で完全に塗りつぶされてしまい、人物は白い服の人がエッジ強調でやたら目立ってしまっています。
3万円程度のスマホに搭載されるカメラユニットは部品代でせいぜい2千円程度なので、この程度の写真しか撮れないと諦めていました。
過去に使ったスマホのカメラ性能で「これは素晴らしい!」と思ったのはXperiaシリーズでしたが、あれは実売6万円以上のものをキャリアの分割購入で買ったものなので、3万円以下の格安スマホとは一線を画すのは当然ですね。
ということで、p20 lite VS ミラーレス一眼カメラで画質対決をしてみました。
使用したミラーレス一眼はちょっとというかかなり古い機種で富士フィルムの「X-E1」です。キャノンなどに比べてあまり有名なカメラではありませんが、発売当時、「フルサイズに匹敵するミラーレス」という意気込みで開発されたカメラで、確かに素晴らしい画質を誇るカメラでした。
「フルサイズ」とは画像素子の大きさのことで、この素子のサイズが大きければ大きいほど画質がよくなります。一般的なミラーレス一眼はAPS-Cサイズと呼ばれる、フルサイズより一回り小さな画像素子が使われており、X-E1もAPS-Cサイズです。
コンパクトデジカメでは画質がいいと呼ばれているものにはたいてい2/3インチの画像素子が使われています。
画像素子のサイズのおさらい
一般的に画像素子が大きければ大きいほど画質は良くなります。
もちろん、画像素子で得られた画像をどのように味付けして加工するかはメーカーの腕の見せどころではありますが、素材(画像素子)が良ければ料理のし甲斐もあるというもの。
これは画像素子のサイズの差をわかりやすく表した図です。
実際の大きさは35mmフルサイズならもちろん横幅が35mmとなります。
今回比較に使ったミラーレスカメラのX-E1はAPS-Cサイズ。
p20liteの画像素子サイズは公式には公開されていませんが、海外のサイトで解析していたレビューによるとどうやら1/3インチサイズで、並みのコンデジにすら及ばないほど小さい素子が使われているようです。
画質がいいと定評のあるiPhone6でさえ並みのコンデジと同じ1/2.3インチ画素を使用しています。appleの画像加工技術が為せるワザと言ったところでしょうか。
p20liteはこの図では一番小さい画素サイズ。これでAPS-Cサイズのミラーレスと対決するなんて最初から勝負にならないほど勝敗は明らかな気がしますが、Huaweiが自信をもってアピールする以上、APS-Cと戦ってもらいましょう。
実売3万円以下の現行品格安スマホと、6年くらい前に10万円くらいで買った旧式とは言えミドルクラスのミラーレスカメラ。果たして勝敗は如何に?!
基本的なカメラスペック
画素 | F値 | 画角 | 手振れ | ズーム | 背景 合成 |
動画 | 出力画像 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
p20 lite |
1600万 |
F2.2 F2.4 |
26mm | ソフトウェア | デジタル4倍 | ぼかし合成 | 1080p 30fps |
4608×3456 |
X-E1 | 1600万 | F3.5 | 28mm | なし | 光学3倍 | なし | 1080p 24fps |
4896×3264 |
基本的なスペックは上記の通りです。
p20liteはダブルレンズで1600万画素+200万画素となっています。これはぼかした背景を200万画素のほうで撮影して1600万画素で撮影した被写体と合成することで背景を一眼レフカメラのようにぼかすことができる機能です。
F値とはレンズの明るさを示すもので、この値が小さいほど明るく優秀なレンズと言えます。
X-E1はレンズが交換できますが今回は安物のセットレンズを使用しています。
手振れ補正に関してはp20liteはズームなどでの撮影後にソフトウェアで手ぶれを補正していますとメッセージが出ます。きっと補正しているんでしょう。
X-E1のセットレンズは手振れ補正のないレンズ。
動画は30fpsでは正直物足りない感じがします。やっぱり60fpsくらいほしいですね。滑らかさが段違いですから。X-E1はまだ動画が重視されていなかった時代なので仕方ないですね。
出力される画像のサイズですが、同じ1600万画素ながらも縦横比が若干違っています。
X-E1のほうが若干横長ですね。
ということで画質比較対決!
写真AとB、どちらがミラーレスかp20liteかわかりますか?
画像の縦横比が違うのでわかっちゃいますね。
Aがp20liteで撮影した写真です。
逆光なので画像素子が小さいほど不利になりがちなシチュエーションですが、p20liteは予想以上に白飛びも抑えてしっかり色が載っています。
ミラーレスのほうはさすがという感じで、赤も緑もしっとりと色が載っています。
オートホワイトバランスに関しては、日中晴天下ではミラーレスと比較してもまったく問題なく色調が合っています。なかなか優秀ですね。
また、カタログスペックではp20liteが広角26mmということですが、28mmのミラーレスのレンズのほうが広角に映っているのがわかりますね。
憶測ですがp20liteは実際は広角29mm程度だと思われます。ひょっとして縦のサイズが大きいのも考慮して26mmということでしょうか。
次に等倍切り出しで見てみましょう。
一目瞭然、写真Aがミラーレスでの撮影です。
やはり画像素子の差が如実に出てしまいました。p20liteのほうは解像感が足りていません。
次は難しいですよ!
画角をそろえてみましたが、これは難しい笑
どっちがミラーレスでどっちがp20liteなのかわかりません。
ホワイトバランスの精度は両者互角、ブログに載せる程度の解像度までリサイズすると解像感の違いもわかりません。
答えは写真Aがミラーレスでした。
よーく見ると、ミラーレスのほうが色が濃く見えます。特に黄色に紅葉した葉っぱの鮮やかさや境内の木造部分の赤みなど。
けどこのレベルの差なんてあとから加工できる範囲の差でしかないんですよね。
これは上記のp20liteの写真をてきとうなアプリで彩度をちょっとだけ上げてみたものです。
もうミラーレスと見分けがつきません。
次は背景のボケを表現できるワイドアパーチャ機能を試してみます。
このためのダブルレンズですからね!
さてどちらがp20liteで撮影した写真でしょうか?
写真Aの背景はまるで一眼レフカメラのようにボケていてメインの被写体が際立っていますね。これは写真Aがミラーレス一眼でしょう!
と思ったら大間違い。
写真Aがp20liteの写真です。
ミラーレスのセットレンズですが、ズーム側ではF値が5.6になってしまうためほとんどぼかすことができませんでした。F値とはレンズの明るさを示す単位ですが、同時に被写界深度を表す単位でもあります。この値が低ければ低いほど、焦点の合う範囲が狭くなります。したがって、F値の低いレンズほど明るいうえに背景をきれいにぼかすことができるいいレンズということです。
ミラーレスのレンズをいいレンズに買い替えればいいんですが、F2の広角ズームレンズとなると10万円くらいは余裕でするため、よほどの写真好きでもない限り簡単には手が出ません。だってレンズだけで10万円ですよ。カメラ本体を6万円で買ったら合わせて16万円になってしまいます。
それを3万円以下の格安スマホでこれだけ「それっぽく」写せてしまうのは快挙と言っていいと思います。
苦手なシチュエーションもある
ここまでべた褒めと言っていいほど評価しているわけですが、必ずしもミラーレスに匹敵するとは言えない場面もやっぱりあります。
例えばこの写真。
一見うまく背景がぼけていてワイドアパーチャの機能が活かされているように見えますが、なんだか不自然です。
遠近が入り組んでいるとどちらが遠景でどちらが近距離なのかの判別がうまくいかずにおかしな合成になってしまうことがあります。
フェンス越しなど近景にあるものが小さい場合など特に顕著に現れます。
ワイドアパーチャは適用レベルを調整できるので、あまり不自然にならないように撮影時に調整するといいでしょう。
同じ構図のミラーレス写真です。
遠くなるにしたがってきれいにボケていっていますね。
もっといいレンズが欲しくなります。
光学ズームではないので単に引き延ばしているだけのデジタルズームになってしまうので仕方がありませんが。
等倍切り出しだと見るも無残なことに。
スマホで光学ズームを搭載している変態スマホはそうそうないので、ほとんどのスマホがズームすると画質が強烈に劣化します。
写真Aがp20liteでの撮影です。
ワイドアパーチャを使わないとかなり奥までピントが合っていて被写界深度が相当深いことがわかりますね。
また絵作りに関してはコントラストが少し強めでエッジ強調も強いのでどうしても硬めな絵という感じを受けます。
良く言えばハッキリしていて見やすい。悪く言えばちょっとギラギラしている。
総合評価
やはり画像素子の圧倒的な違いを埋めるのは難しいながらも、こんな小さな画像素子でこれだけの写真を、しかも3万円という格安スマホの1機能として搭載されているだけのカメラが撮ってしまうというのは隔世の感を感じずにはいられませんでした。
明らかに一昔前のコンデジクラスの画質を凌駕しています。
3万円そこらのコンデジを買う意味はすでになくなってしまったと思わざるを得ないですね。
そりゃコンデジ市場が衰退し続けているというのもうなずけます。
バッテリーの持ちが気になるところですが、晴天下でカメラを使うとなると液晶の明るさは100%にしないと厳しいものがありました。
ですが、液晶の明るさ100%で40分ほど、歩きながら目に留まったものを撮るという使い方をしていた程度ならバッテリーは3%しか減りませんでした。撮影した枚数は30枚ほどです。
逆光で真っ黒になってしまうような場面でも、白飛びを抑えつつ暗いところを明るくするというHDR機能があるなど、オプションを使いこなすとかなりいい写真が撮れそうです。
インスタやソーシャル、ブログにアップする画像のサイズはせいぜい横1000pxもあれば十分。A4サイズで印刷でもしない限り、ミラーレスクラスのカメラの代わりとしても代用できそうだなと思えるほどの性能でした。
あと片手ホールドの際にグリップリングが付いていると片手持ちでも非常に安定しましたのでおすすめです。
僕が使ってるのこれです。ストラップホールもあるので片手で写真撮ってても落とすことなんてありえません。 僕が使っているX-E1はもう新品では手に入りませんが、エントリークラスのAシリーズでも現行機種はX-E1を超える画質になっています。